04 前例のないプロジェクトへの挑戦・
思いが仕事につながる時
営業第二部

  • 寺田 茂昭

    営業第二部 部長

    寺田 茂昭

  • 金 振

    営業第二部 営業三課
    プロジェクト貨物輸送推進チーム

    金 振

  • 清水 保典

    営業第二部 営業三課
    テクニカルアドバイザー
    プロジェクト貨物輸送推進チーム

    清水 保典

日本国内のバイオマス搬送において有数の長さを誇る搬送機器(ベルトコンベヤシステム:以下ベルトコンベヤ)輸送の受注、それはプロジェクト貨物輸送推進チームの悲願であった。クライアントである本邦のメーカーとは、一般的な航空貨物を手始めに、様々な案件を通して信頼獲得の結果、ベルトコンベヤ輸送についても過去に1件を受注し、滞りなく輸送した実績があった。しかし2件目については受注できなかったこともあり、背水の陣で獲得を目指した3件目が今回のプロジェクトだった。

「2件目を請け負った他社の輸送では、遅延や予算超過などが発生したそうです。そこで1件目を成功させた当社の実績が再評価されて今回の受注に至りましたが、不安がなかった、と言えば嘘になります。」と寺田。
受注段階では輸送予定のベルトコンベヤは製造途中で、且つ海外から分割輸送する膨大な部材の詳細な寸法や、正確な搬出スケジュールが把握しきれていない等の理由からだ。

業界に幅広い経験を持つ清水も
「海外メーカー工場からの輸送となり、当初は積み出し港やルートが確定せず、概要しかわからない状況でした。しかし、日本最長クラスの、それもバイオマス発電に必要なベルトコンベヤとなれば『何としても自分たちでやらねば』という使命感がチーム全員にありました。」と語る。

プロジェクトのスタートは新型コロナの不安が払拭しきれない2023年の春。コロナ禍による輸送の混乱、港の混雑や人手・輸送船不足などが尾を引いている時期だった。

「本プロジェクト最大の課題は、膨大な荷物を分割して、決められたスケジュールに従って輸送することにありました。」と清水は言葉を続けた。

コンベヤ部材は組立の順番に従って海外工場から搬出され、6日程度の航海を経てバイオマス発電所のある東北地方の港へ運ばれる。置き場所が限られるため、組立スケジュールに沿って正確に輸送しなければならない。部材1つが最大10m程度にもなるため、大きな貨物輸送に適する在来船を使用し、約1年で10回に分けての積み出しが決まった。

初回の部材積載・船積みには、前回のプロジェクトでも現場を担当した金(キム)が立ち会った。担当者の海外現地立ち会いは契約上の義務には含まれなかったが、この配慮が功を奏することになる。

「港が混雑したために、本プロジェクトで使用する在来船の着岸が遅れそうな事態となりました。遅れは滞船料の発生や納品遅延によるペナルティなど、クライアントの損失に直結します。」と語る金は、奔走して港湾関係者などに働きかけ、滞船日数を最小限に抑えての着岸、積載を実現させた。

些細なトラブルも、対処を誤れば大きな問題に発展することがある。次のピンチは「汚れ」だった。

積出港に多くの石炭灰の山があり、メーカー工場搬出・積出港への搬入・在来船が着岸する岸壁までの配送時に、その影響を受けて汚れが付着する可能性があることが分かった。工場から岸壁までの輸送は別の業者が担当している。金は各所へ汚れ防止対策を依頼、港での船積み及び積み付けの際に作業者が土足で部材に乗らないよう指示を出した。また、汚れが付着したスリングベルトの交換依頼などの対応と同時に、チャットシステムを活用し、関係者間での迅速な情報共有に努め、海外積出港の状況を細かく伝えることでクライアントの理解を得た。

その後、すべての部材積み付け・船積みに立ち会った金は
「とにかくこのビッグプロジェクトを成功させたいという一心でした。今振り返ると容積や船倉の形が異なる複数の船での積み付け作業を見たことで知見が広がり、当社として新しいナレッジの獲得に繋がりました。」と語る。
その後も悪天候による航行の遅延など、様々な困難に見舞われる度にケイラインロジスティックスのナショナルスタッフを含めたグローバルネットワークがチームとしての粘り強い力を発揮し、プロジェクトは完遂の日を迎えた。クライアントからは最後の引き渡し後に関係者一同をぜひ打上げ会へ招待したいという打診までいただいたという。

今回のプロジェクトでは特にCO2削減にも配慮した。
「近年はCO2を排出しない輸送手段や梱包方法を採用していますが、今回はバイオマス発電所の設備輸送ということで、1回の輸送毎に海上輸送時に使用した燃料のCO2排出量を計算して提出するなど、より細やかな対応が求められました。どのような出荷にも常にリスクはあり、プロジェクトごとに新しい課題にぶつかりますが、それこそがこの仕事のロマンでもあります。」と寺田。

「私たちの仕事はどれもオーダーメイド。今回のように前例のないものばかりです。プロですから受けた以上は完遂して当然。しかし、充実したチームワーク、お客様からの信頼や感謝、私たちの運んだベルトコンベヤが未来に貢献することも含め、数字に表すことのできない成果を得てこそ成功と言えるのだと思います。」と清水は結んだ。

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