30トンの冷凍食品を
タイから緊急輸出

営業第一部 営業一課
2008年入社/文学部 地理学科 卒
松岡 淳平 JUMPEI MATSUOKA

PROFILE

大学時代はアメフトに明け暮れた。その経験からチームで何かを成し遂げていく仕事に就きたいと考え、就職活動を行った。そこで目に留まったのが航空業界。中でも、一つの貨物を届けるのに、営業、CS(カスタマーサービス)、現場、様々な部署と連携を図り、サービスを提供するところにシナジーを感じ、国際物流の道に進むことを決めた。

現在の仕事内容

KLLの本社営業部は4つの部があり、私が所属する営業第一部は、国際物流における航空輸出に特化したお客様が多い部署です。その中で私は、自動車、建築、材料、化学など、多岐にわたるメーカー様や商社様を約50社担当しています。そういったお客様から、現状の商流・物流を聞き出すことが、営業のはじまり。その上で、現地の通関、国の風習・文化といったことを加味しながら、最適な方法を探し、総合的な輸送方法を提案しています。そして、受注が決まれば先頭に立って指揮を執り、社内の様々な人と協力をして、目的地までに無事に貨物を届ける手配を行っていくという流れです。

STORY 01

冷凍食品を電源のないコンテナで運ぶ

私が営業を行う上でモットーとして掲げているのは「荷主様のパートナーとなること」です。それを意識しながらタイで海外駐在を行っている時に、忘れられない経験をしました。タイに駐在していたのは2011年から2018年の7年間です。駐在をするようになって2年目の時、あるお客様からタイの工場から日本へ冷凍食品を届けるというご依頼をいただきました。冷凍食品の輸送手段としては海上輸送が一般的な方法です。その理由は、海上輸送のコンテナには電源が搭載されており「冷凍庫」の状態にして運べるからです。
しかしながら唯一ネックになるのが、時間がかかるということ。このお客様の冷凍食品は非常に売れ行きがよく、行楽シーズンに間に合うようにしたいという要望だったのですが、ご依頼をいただいた時期では、すでに海上輸送では間に合わない状態だったんです。そこで、航空輸送で運ぶという手段を取ることにしました。ただ、航空輸送のコンテナには電源がないんですね。そのため、ドライアイスを使って疑似冷凍庫のような状態にして運ぶ必要がありました。それも30トンもの量を、です。

STORY 02

熱意で壁を乗り越えた後のトラブル

まずやらなければならなかったのは、航空機の手配です。冷凍食品を運ぶ基準温度であるマイナス18度を保つために大量のドライアイスが必要になるのですが、一つのコンテナに積むドライアイスの量にも決まりがあります。それを考えながら、30トンもの冷凍食品をすべて積み込むにはいくつのコンテナがいるのか。そして、どのフライトに載せるのが一番いいのか。その調整は現地の航空会社の方にとって非常に大変なものだったと思います。ただ、私はお客様のために「何とかしたい」という想いで、一週間、航空会社の方のところに通い詰めました。その熱意が伝わったこともあり、最終的には納期に間に合わせる目処がついたのです。しかし、そこで終わりではありませんでした。タイは南国ですから、ドライアイスを使ってもなかなかコンテナの温度が思うように下がらないという事態が発生してしまったんです。そうなると段取りをすべて変えなければなりません。もう、だめかもという思いがよぎりましたが、助けてくれたのはナショナルスタッフの方々でした。

STORY 03

情熱は言葉の壁を越えていく

お客様工場の方、空港の方、コンテナに積み込みをしてくれる方、トラックの運転手さん、すべてのナショナルスタッフの方々に協力いただくには、こちらのやってほしいことをうまく伝える必要があります。当時の私は語学力が乏しかったのですが、面と向かって身振り手振りで必死に伝えることで、こちらの想いを汲み取っていただくことができました。熱量があれば、言語を越えたコミュニケーションは可能なのだと、感じられた瞬間です。この経験を経て大きく成長できたと思います。
また、このプロジェクトによりお客様との絆がとても深まりました。トラブルが起こる中でもお客様とは常に連絡を取り、状況を説明しながら間に合わせるために様々な段取りの提案をしていたんです。そして、いよいよ大きな判断をする時「うちの社員かと思えるくらい考えてくれて、現地で色々な手配をしてくれたんだから、松岡さんに任せるよ」と言っていただけた時は本当に嬉しく、パートナーとして側に近づけたと感じられました。
このプロジェクトは大変だった思い出の方が多いですが、毎年のようにご依頼をいただけるようになりました。一つの自信を持てる新しいサービスとなったことは、KLLにとっての価値にもなったと思います。

ある1日のスケジュール

9:30
出社。メールや
TO DOリストの確認。
10:00
社内を歩き回り、担当してくれている各部門のスタッフへトラブルなどがないかの声掛けを行う。
12:00
会社周辺のお店で同僚と一緒にご飯を楽しむ。
14:00
約50社ある中でアクティブ顧客を中心に訪問。困りごとや新規商流がないか情報交換を行う。
17:00
帰社して不在時のメールチェック、社内コミュニケーション。
19:00
見積りなど、自分のみで行える残務処理を行い退社。

今後の目標

このプロジェクトでは「30トンの冷凍食品を航空輸送で運ぶ」という、輸送方法を構築したと言えるものになりました。今後もそのように、一から新しい輸送方法の構築を手掛け続けていきたいと思っています。それには現場や協力会社の連携は必要不可欠なのですが、実行できた際には国籍を超えたスタッフの方たちとの友情をつかむことができますし、KLLの新しい強みを作れます。それを、周りを巻きこみながら先頭に立って実現できることが、この仕事の大きな醍醐味だと思いますね。また、タイでの駐在経験を活かし、お客様の貨物をタイ拠点に集約させるなどしてコストを下げるといった、グローバルな物流の構築にもチャレンジしていきたいです。世界を相手にしていると、やりたいことは尽きません。