ニューヨークで
新しい車両を走らせるために

“K” LINE LOGISTICS(U.S.A.) INC.
NEW YORK BRANCH OFFICE
2011年入社 / 経営学部 商学科 卒
津郷 真之介 SHINNOSUKE TSUGOU

PROFILE

大学で貿易を専攻し、3年次に通関士の資格を取得。そのことから、船会社や商社を軸として就職活動を行う。しかし、企業研究などを進める中で、より海運の仕事に興味が近いと気がつき、そこから物流業界を視野に入れるようになった。そして、幼少の頃に神戸に住んでおり川崎汽船を知っていたことから、縁を感じてKLLへの入社を決めた。

現在の仕事内容

通関士の資格を持っていたため、入社後は関西支店の輸入課通関チームに配属されました。その後、神戸営業所にて営業として顧客対応を担当。そして、現在はNY支店に駐在をして鉄道車両系の貨物を取り扱い、営業活動だけでなく倉庫での作業、スタッフの評価、他セクションとの折衝などを行っています。アメリカでは、日本ではあまり接することのないコンテナ詰めも自らKLLにて行うことができるので、その積み込みプランや養生方法を策定し現場スタッフに指示を行うといった形です。また、主要顧客先の駐在業務も行っており、顧客の物流部門の一員として顧客の現場スタッフに梱包アドバイスを行うことや、最適な輸送ルートの提案を行うなど、顧客先の業務が円滑に進むようなサポートをしています。

STORY 01

ニューヨークへ行きたいか!?

2021年の春頃から、ニューヨークとニュージャージーの間を走る、鉄道車両のリニューアルプロジェクトが持ち上がりました。この車両の製造が日本で行われるということで、それに関する資材や部材の輸送に携わることに。当時の上司は過去にNYで同様の案件に携わっていたこともあり、神戸営業部で担当していた私に声がかかることに。「ニューヨークへ行きたいか!?」その時に言われた言葉は今でも忘れることは出来ません。当社で引き受けたのは、鉄道車両に必要になる部品をアメリカから日本へ輸出することです。鉄道車両のような大きなものは大工程、中工程、小工程といったように製造のスケジュールが細かく決められており、各工程のスケジュールに間に合うように日本に届ける必要がありました。さらに、鉄道車両には一つの車両に何万点という部品があり、様々なメーカーから供給されています。そのため、各メーカーの製造納期から逆算して、工場からの出荷日や輸送モードの選択を行う必要があります。しかし、2022年後半から港湾の混雑などで輸送日数が通常30日程度であるものが60日まで伸びたケースもあり、空輸を選択しなければならないことに…。いかにコストカットしながら手配をするかが、大きなハードルとなりました。

STORY 02

早く、リーズナブルに届けるには

私たちは、輸送して利益を得ることが企業としての生業ですが、一方でそれは、顧客の輸送コストになるということを考える必要があります。急ぎで届けるのであれば、単純に空輸をすれば済む話ですが、それではKLLにご依頼をいただく価値がありません。そのため、私は最大限にコストを下げる方法を模索しました。これがフォワーダー業務の醍醐味ですから、大変ではありましたが楽しんで取り組めたポイントだと思います。
具体的には、航空会社や船会社と密に連携を取り、納入部品の納期を見ながら提案をすることにしました。電車の部品の大多数は大きくて重たいため、航空会社がたくさん貨物を積んでいる時に運んでもらおうとすると料金が高くなってしまいます。そのため、なるべく貨物が少ない時を狙って安くしてもらえる交渉をしました。他にも、航空便に搭載する貨物が少ない時はすぐに輸送するのではなく、他にも送る貨物を集め、できるだけ安くできるように調整し、顧客に対してメリットが出るように提案をしていきました。

STORY 03

主体性が生まれたことで品質が高まる

このプロジェクトでつくられる鉄道車両は、ニューヨークや近郊のニュージャージーを走る車両になるため、特に当店ナショナルスタッフの士気が向上していたと思いますね。スタッフの方々はそれまで、普段自分たちが運んでいるアイテムは最終的にどのようになるかまでは意識せず、黙々と手配していました。ですが、今回のプロジェクトでは完成した車両はまたニューヨークに戻って来るということ、そして、その車両は彼らにとっても馴染みのある乗り物であること、これらの点から、エンドユーザーの立場として関心を持って本プロジェクトに携わってくれたと感じられました。そのように業務に対する主体性が生まれたことが、一番の価値になったと思います。このことから、今後もさらなるサービスの向上が期待できますから。

ある1日のスケジュール

8:30
出社して、メールの確認。
9:00
貨物のステイタスや見積などの問い合わせ対応。
10:30
当日の貨物チェックとして、担当案件の貨物のコンディションの確認。
11:00
会議・打ち合わせで、懸念事項などの情報共有。
12:00
事務所周辺の店で購入し、デスクで食事。
14:00
マンハッタンにある顧客に訪問、物流マーケットについて説明など。
16:30
帰社して、外出中に来ていた問い合わせ類の確認。
18:00
退社

今後の目標

入社以来、鉄道車両、船舶、工業プラントといった案件に携わり、現在も同様に鉄道車両の案件に携わっています。しかし、物流は十人十色、一期一会で同じアイテム、同じ物量でも同じ輸送結果になるとは限りません。これは物流に様々なヒトや機材、企業や国のルール、時には天候などが関わり合って輸送が完了するからです。要因が多岐にわたるため、入社して10年以上経っても黄金ルールを見つけられていません。だからこそ、これまでの経験や知識を使って、これらの関わり合う要因を考え、その時の最適解を導き出すのが私の仕事の永遠のテーマであると思っています。そして、今後もあらゆることに積極的にチャレンジして、最適解への確度を上げていき、次の世代に「ニューヨークへ行きたいか!?」と言えるようになりたいです。